<Aさん>
作者コメント:桃山時代わずか50年間の短い期間にすぐれた器を残し姿を消した薄命のやきもの黄瀬戸。その繊細さ、頼りなさに興味を持ち、独特の雰囲気を味わってみたいと挑戦しました。

●刷毛目平茶碗(はけめひらちゃわん)
6月に入会されて一作目の作品です。見込みに白化粧で刷毛目を施し、その上に釉薬が一点垂れたために、とても味わいある作品となりました。

●黄瀬戸輪花鉢(きせとりんかばち)
初めての輪花に挑戦し、口縁部を花びらのように削り落としました。輪花の華麗さと、柔らかい線彫りが絶妙なバランスです。綺麗すぎない線彫りが温かみを感じさせる大切な要素です。

●黄瀬戸菊型向付(きせときくがたむこうづけ)
室町後期から桃山初期に作られていた黄瀬戸の写しです。現代の黄瀬戸は薄く硬い感じのする作品が多くありますが、ある程度の作品の厚みが風格を醸し出すことを、本作を作ったことで作者自身が誰よりも感じ得たのではないかと思います。